【たおれん棒】が生まれるまでの物語 | 株式会社空撮技研
株式会社空撮技研 代表取締役社長 合田 豊 氏(右)【たおれん棒】は、ロッド先端に取り付けた小型プロペラの風力を利用し、ロッドが倒れようとする方向とは逆向きの推力を発生させることで、Bi Rodを"自立"に近い状態にできるサポートツールです。ロッドが傾くと自動的に反対方向へ力が働くため、長いロッドでも驚くほど安定し、撮影や点検作業を力を必要とせずに安全かつスムーズに行えるようになります。ドローンが飛ばせない環境でも、まるで"地上で使える安定装置"のようにロッドを支えてくれる存在です。
今回は、この【たおれん棒】を開発した株式会社空撮技研本社にお伺いしました。同社はドローンの国家資格講習機関としての運営から、DJI製品の販売、そして独自ツールの開発まで、空からの視点を活かした幅広いサービスを展開しています。
ドローンを軸に広がる事業
空撮技研の事業は、ドローンを中心に多方面へと広がっています。国家資格の登録講習機関としての役割に加え、講習機関を監査する立場も担い、さらにDJI製品の販売も行っています。
また、現場の声をもとにした独自ツールの開発にも積極的で、ドローン用係留装置【ドローンスパイダー】や【たおれん棒】は、その代表的な成果です。
開発現場には12台の3Dプリンターが並び、12名のスタッフが日々試作と改善を繰り返しています。少数精鋭だからこそ、アイデアがすぐ形になるスピード感があるといいます。
オフィスには12台の3Dプリンターが並び、様々な製品を出力している。
"飛ばせない場所"との出会いがすべての始まり
【たおれん棒】の開発は、現場での切実な悩みから始まりました。ドローン撮影の依頼が増える一方で、人混みや屋内、狭い空間、電波が不安定な場所など、どうしてもドローンを飛ばせない環境が存在していたのです。
代わりにポールの先にカメラを取り付けてみても、揺れが大きく、思うように撮影できません。
「なんとかできないだろうか」
そんな思いから、たおれん棒の構想が生まれました。
——合田社長
短いロッドで試作を重ね、振動の特性を調整し、ついにはペットボトルの上でも自立するほどの安定性を実現。この瞬間、現場で本当に使えるツールになるという確信が生まれたといいます。
たおれん棒のテスト。ペットボトルのキャップの際でも自立が可能な高い安定性能を誇る。
理想のロッドを求めて辿り着いた答え
たおれん棒の性能を左右するのは、ロッドそのものの品質です。全国のロッドを比較し続けた結果、最終的に採用したのが Bi Rod でした。
しなりの強さやカーボンの含有量、長尺でも安定する特性など、求めていた条件がすべて揃っていたといいます。最初は7.5メートルでテストしていたものが、11.5メートル、12.5メートル、そして最大13.9メートルまで対応できるようになりました。

11.5m伸ばしても安定感があるためストレスを感じず作業が可能。
ユーザーの声が後押しする成長
長いポールは扱いが難しいというイメージがありますが、たおれん棒を使うと驚くほど安定します。初めは不安を感じるユーザーもいましたが、一度使うとその扱いやすさに驚き、リピート購入につながるケースが増えているそうです。
「理解してもらうまで時間はかかったけれど、ようやく価値が伝わり始めた」
——合田社長
次のステージへ──さらなる長尺化とアタッチメントの進化
ユーザーから寄せられる要望の中で最も多いのが、「もっと長くしてほしい」という声です。現在は20メートル、30メートルといったさらなる長尺化に向けた検討が進んでいます。
また、さまざまなアタッチメントの開発も同時に進行中です。依頼ベースでの制作も多く、思いもよらない用途が持ち込まれることもあるそうで、そのたびに新しい発見があるといいます。
大型カメラにも対応できる強さ
たおれん棒は、一般的なポールでは難しい3キロ級の重量物にも対応できます。大型カメラを使いたいという現場のニーズにも応えられるため、高画素での撮影や構造物の点検で特に重宝されています。
また、大型カメラを使用した際に画角調整ができる、大型の無線式電動雲台も製作しており、より高度な撮影にも対応できるようになっています。


ドローンを取り付けるという新しい発想
たおれん棒の先端にドローン本体を取り付けるという、少し意外な使い方も可能です。これが非常に相性が良く、操作性が飛躍的に向上します。
イベント会場などでは通常のカメラのWi-Fi通信が不安定になることがありますが、ドローンの通信は安定しており、ピントやシャッタースピード、チルトなどの操作も手元で行えるため、撮影の自由度が大きく広がります。
赤外線カメラを使えば、壁面の浮きや温度差も可視化でき、点検作業が格段に効率化されます。さらに、プロペラを回さないためバッテリーが長持ちし、1〜2時間の連続撮影が可能になるというメリットもあります。


数十メートル離れた照明ポールの錆びやボルトの状態も鮮明に撮影可能。
現場の"できない"をなくすために
たおれん棒は、ドローンでは対応できない現場の課題を解決するために生まれたツールです。自立性の高さ、長尺でも揺れない安定性、重量物の搭載、そしてドローンとの組み合わせによる拡張性。こうした特徴が、撮影や点検、補修など、さまざまな現場での活躍につながっています。
「もっと現場を安全に、もっと便利にしたい」その思いが、
これからの開発をさらに前へと進めていくはずです。
——合田社長
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