アマチュア無線専門誌「HAM world」でBi Rodが紹介されました

アマチュア無線専門誌「HAM world」でBi Rodが紹介されました

アマチュア無線専門誌「HAM world」2025年1月号でBi Rodが紹介されました!
アマチュア無線でのBi Rod使用方法について詳しく解説していただいていますので、ぜひご覧ください。
本誌には限定のクーポンコードも掲載しておりますので、ご興味のある方はぜひHAM world 1月号をお買い求めください!

HAM world 中村 直正 JG1QNV


 釣り竿グラスファイバーロッドは絶縁性があり軽量で長さが選べるので、アンテナエレメントの支示によく使用されています。しかしアンテナマストとして使用するには強度が足りません。今回は釣り竿より先端が太く、グラスファイバーやカーボン樹脂製でとても軽く、かつ強度があり長さも 2~11.5mまで選ぶことができるといった特徴を持つ「Bi Rod」(ビーアイロッド)を紹介します。

カーボンとグラスファイバー 長さは4種類
 Bi Rodは主に釣り具などを手掛けているメーカー「ルミカ」の製品で、グラスファイバーとカーボンの2 種類の材質でできた伸縮ロッド(ポール)です。長さは 2~11.5mまで4種類あります。4.5mおよび7.5mのBi Rodを写真1に示します。


⬆写真1/Bi Rod(ビーアイロッド)はグラスファイバーとカーボン樹脂の2種類の材質でできた伸縮ロッド。長さは 2~11.5mまで4種類ある。写真はカーボン樹脂製で4.5m(上)および7.5m(下)。

 ロッド単体、ロッド+三脚の組み合わせで販売されており(写真2)、用途に応じて選ぶことができます。Bi Rodのラインナップを次のページの表1に示します。
 主な用途はロッドの先端に軽量カメラやアクションカムを付けて高所でのふかん撮影など、通常では見ることが難しい視点での撮影に多く使用され、作品撮影、高所点検撮影、広角視野撮影によるスポーツ分析などに利用されています。カメラショーでも展示されており、2015年からの累計で25000本販売され、この分野では実績のある製品とのことです。


⬆写真2/Bi Rod三脚セット。ロッド単体、ロッド+三脚の組み合わせで販売されている。いずれもケースが付属する。写真はカーボン樹脂製4.5m Bi Rod。

表1/Bi Rodラインナップ。カーボンとグラスファイバーで4種類の長さが用意されている


 カメラネジのついたロッド先端には標準でカメラ用ボール雲台(写真3)がついています。伸縮は写真4のように各段についているレバーロックでロッドをクランプすることにより、任意の長さで止めて使用することができます。各段のロッドを目一杯伸ばすとロッド端部に写真5のようなマークが見え、一番下の赤マークが見ないところまで縮めて使用します。


⬆写真3/カメラネジのついたロッド先端には、標準でカメラ用ボール雲台がついている。


⬆写真4/伸縮機構。各段についているレバーロックでクランプすることにより、任意の長さで固定して使用することができる。
⬆写真5/各段のロッドを目一杯伸ばすとロッド端部にマークが見える。使用する際は一番下の赤いマークが見えないところまで縮めて使用する。

 ロッド径は長さにかかわらず先端23m㎜φ、根元38㎜φ(11.5mは50㎜φ)です。段数は4.5mおよび7.5mが6段、11.5mは10段構成になっています。材質はカーボン樹脂及びグラスファイバー樹脂の2種類があり、重量は三脚を含めても2kg (4.5mの場合)しかありません。ロッドを伸長して三脚を伸ばした状態で手持ちしても、非常に軽い印象です。
 カーボンとグラスファイバーでは強度が異なり、グラスファイバーはしなりが大きく強度的にはカーボン樹脂製が優れています。推奨積載荷重はロッドの材質と長さにより異なりますが、カーボン樹脂製の場合(4.5m、三脚使用)で最大で2kg程度の荷重まで使用可能です。
 三脚は4.5m用は脚を広げた状態で脚の作る直径が1.16m、7.5m用は脚の作る直径が2.16mとなっています。
 実際に立ててみると4.5m/7.5mとも無風なら自立できますが、基本的には三脚の固定が必要となります(写真7、8)。例えば水入りペットボトルを三脚に固定、地面にペグで固定などが考えられます。さらに、写真9のようにロッド先端部からステーリングを使用してトップステーをとることにより、強度を上げることができると思います。
 この際、ロッドが傷つかないように写真10のように金具とロッドの間にゴムシートを挟むなど配慮が必要です。
 別の方法として、車のタイヤで踏む踏み立て台の使用もあります。この場合は、三脚は必要なくロッドを踏み立て台にさせばロッドを固定することができます。踏み立て台のボルト固定は細長い鉄板を挟んでロッドを面で受けるようにすることが必要です(写真11)。


⬆写真6/Bi Rod用の三脚。4.5m用は脚を広げた状態で脚の作る直径が1.16m。7.5m用は2段収縮で脚の作る直径が2.16mとなっている。4.5m/7.5mとも無風なら自立できるが、基本的には三脚の固定が必要。
⬆写真7/ペットボトルによる固定。2ℓペットボトルを脚に縛り付けて三脚を固定。


⬆写真8/ペグによる固定。脚の近くにペグを打って三脚を固定。
⬆写真9/ステーリングによる固定。ロッド先端部から、ステーリングを使用してトップステーを取ることにより強度を上げることができる。


⬆写真10/ステーリングによる固定。ロッドが傷つかないように金具とロッドに間にゴムシートを挟んだ。締め付け過ぎないように注意。
⬆写真11 /踏み立て台による固定。車のタイヤで踏む踏み立て台の使用もある。三脚は必要なくロッドを踏み立て台にさせばロッドを固定することができる。踏み立て台のボルト固定は細長い鉄板を挟んで面で受けることが必要。

 Bi Rodには、ロッド単体、ロッド+三脚セットともに写真12のような運搬に便利な専用ケースがついています。このケ ースは特筆もので、キャリーハンドルもついている軽量で堅牢なケースになっています。本体はプラスチックパイプでできており、表面は布張り、先端の円筒部分にチャックがあり内側もクッション材の布張りがしてあります。運搬時、ロッドをしっかり守ってくれるケースです。


⬆写真12 / Bi Rodには、ロッド単体、ロッド+三脚セットともに、運搬に便利な専用ケースがついている。これがなかなかの優れもの。垂直系アンテナを収納するのにちょうどいい。

アマチュア無線での活用
 Bi Rodの無線への応用について、使用形態を考えてみました。

(1)ワイヤー系アンテナの支持
 Bi Rodは、ワイヤー系アンテナ(ロングワイヤー、ツェップ)端部やまたダイポールの給電部の支持に使用できます。写真13-1、13-2はIC-705にATU(AH-705)とロングワイヤーを組み合わせてロングワイヤーエレメントのワイヤー端の支持に使用した例です。一方向に力がかかるため、前述のステーリングを利用して3本のトップステーをとり、ワイヤーエレメントをL字に張って端を別のBi Rodに固定したATUのアンテナ端子に接続しています。写真14はATUを7.5mロッドの根元に設置し、ビニールコードを垂直エレメント(7.5m)としてロッドに沿わせてアンテナとしてみました。アースは10mのビニール線3本を使用しました。三脚の脚は地面にペグで固定しています。この構成で、3.5~50MHzまでチューニングが取れました(写真13-3)。


⬆写真13-1 /ワイヤー系アンテナの支持。ステーリングを利用して3本のトップステーをとり、ロッドを固定。ワイヤーエレメントをL字に張って端を別のBi Rodに取り付けてあるATU (AH-705)のアンテナ端子に接続した。
⬆写真13-2/Bi Rodに取り付けたATU(AH-705)の様子。


⬆写真13-3 /ワイヤーエレメント+AH-705の組み合わせで、調整もバッチリ。7MHzでチューニングを取ったところIC-705のバンドスコープが賑やかに。


⬆写真14 /垂直エレメントの支 持。ATUを7.5mロッドの根元に設 置し、ビニールコードを垂直エレメント(7.5m)としてロッドに沿わせてアンテナとした。

(2) 小型八木アンテナ/ グランドプレーンの取り付け
 カーボン製 4.5mの推奨積載荷重は2kgなので、小型の八木アンテナを載せることもできそうです。写真15のように144MHz帯7エレ八木を載せてみました。金属製マストを使用する場合、片支持ブームを使用してマストからアンテナを離すことが必要ですが、カーボン樹脂は影響が低いのでアンテナをそのままマストに固定することができます。ただし、カ ーボン樹脂の場合、局所的に力がかかると折れてしまうため、ゴムなどの緩衝材を巻いた状態でステーリング金具を固定してから八木アンテナをU字ボルトで固定しました(写真16)。同様にU/VHFのグランドプレーンも使用することができると思います。

(3) スクリュードライバーアンテナの取り付け
 手軽にHF帯で運用できるアンテナにポータブルスクリュードライバーアンテナがあります。Bi Rodの先端には三脚取り付け用ネジがついているので、写真17のように市販の三脚取り付け金具(ダイヤモンドアンテナTRS3)を使用してポータブルスクリュードライバーアンテナ(ダイヤモンドアンテナRHM12やRHM10など)を固定して使用することができます。この場合はアース線が必要なため、ロッドを伸ばす必要はありません。

(4)アンテナ/タワーの点検・確認
 これは本来の使用方法ですが、WiFiのついた軽量カメラをロッドの先端に付けて、アンテナやタワーの点検に使用することができます。最近ではドローン活用も考えられますが、ドローンより簡単なお手軽に点検ができるといったメリットがあります。


⬆写真15 / 144MHz7エレ八木の取り付け。 144MHz7エレ八木を載せてみた。
⬆写真16 / 144MHz7エレ八木の取り付け。カーボンやグラスファイバー樹脂の場合、局所的に力がかかると折れてしまうため、ステーリング金具を流用して八木アンテナを固定した。
⬆写真17/ポータブルスクリュードライバーア
ンテナの取り付け。市販の三脚取り付け金具(ダイヤモンドアンテナTRS3)を使用してポータブルスクリュードライバーアンテナ(ダイヤモンドアンテナRHM10)を固定した。

長尺で軽量活用は幅広い
 長尺で非常に軽量な樹脂製ロッド Bi Rod について、アマチュア無線での使用形態を考えてみました。積載荷重に制限がある、アンテナのクランプには注意が必要等制限はありますが、長尺で軽量かつ絶縁性といったメリットもあり、工夫することによりアマチュア無線への応用が考えられると思います。手元にあれば、いろいろな場面で幅広く活用できることでしょう。

(原文まま)
ブログに戻る